薬剤師のための『薬物動態ものがたり』
菅野 彊・著
薬剤師の技術として薬物動態値を読み解くための“コツ”を、
豊富な事例を上げてわかりやすく解説。
薬剤師のスキルアップに必携の一冊です。
プロローグから
「薬局薬剤師は、医師や看護師の技術とは相対的に独立した“薬剤師技術”の構築が必要です。
薬剤師技術とは、第一に医薬品情報を検索し、的確に判断して新しい価値を付加した医薬品情報を作成する技術、
第二は薬の副作用を理論的にとらえ、継続的にチェックし、それを防ぐ技術、
そして第三に薬物動態学を理解し、薬物動態値を服薬指導に応用する技術です。
よいことも悪いこともすべては患者さんの身に起きます。だから、薬剤師は患者さんと薬との関係を判断するための技術を学ぶ必要があるのです。
薬物動態学的判断技術は比較的新しい分野で、医師も看護師も集団として注目しておらず不得手な分野です。臨床の現場で実際にこのテーマに取り組んでみて、その成果の大きさに驚くことがあります。
ぜひこの喜びを多くの薬剤師に知っていただき、患者さんや医師をはじめとした医療スタッフに薬物動態から得られる情報と判断を提供してほしいと思います」
主なコンテンツ
【prologue】
薬剤師の技術として薬物動態値を読み解くための
“3つのコツ”
【第1章】
この薬物動態値が分かれば、
薬物動態学は簡単にわかってしまう
●体内からくすりが消失する仕方には 2つある
●消失半減期でわかる、確実にくすりが効いてくるとき
●消失速度定数はくすりが体内から消えていく割合を表す
など
【第2章】
医薬品添付文書の薬物動態値は、
こう読めばこんなにおもしろい
●くすりの服用時間や使用時間は最高血中濃度時間を目安に
ホクナリンテープはいつ貼るのか
●くすりの投与回数を消失半減期で決められない場合
コニール錠の投与回数はなぜ 1日1回か?
●最も怖い薬物相互作用は代謝酵素阻害である
カルブロック錠はCYP3A4で代謝など
【第3章】
TDM(血中濃度モニタリング)ができなくてもできる!
7つの薬物動態推測式
●単回投与時の最高血中濃度を推測する
不整脈にサンリズムを頓服で投与された Tさん、
効くか心配!
●期待する薬物血中濃度を達成するために投与量を変更する
てんかん治療中のEさん、
テグレトールの血中濃度が治療域以下!
●急に血中濃度が上がる非線形速度過程の投与量を決定する
ヒダントール投与中のてんかんKさん、
最近ときどき発作の前兆が発現!など
【epilogue】
薬物動態学の未来は薬力学との統一“PK/PD分析”にある